昨年ある工務店さんの社長さんと出会った。
きっかけはその工務店さんのモデルハウスの
ことを知って、厚かましくも電話をして
「勉強させて頂けませんか?」
この一言からだった。
ワクワクしながらモデルを訪れた先で
待っていたのは、アニキ肌の10歳上の
社長さん。
素敵な人柄で、私の地元にはいないタイプの
不思議な魅力を感じた。
「なんかよくわからないけど、
そこにいたら落ち着いたり、気持ちが安らいだり
もっと長居したくなる・・・そんな家を
作っているんだ」という言葉は私にとって
とても新鮮だった。
見せて頂いたモデルハウスは、いい意味で
新建材とは無縁の自然素材や職人さんによる
独特の手作り感がたまらなく心地よかった。
「場の建築」
自然に見える場面でも、
ディテールにこだわりぬくからこそ
演出できる空間。気づけばあっという間に
5時間が経っていた。
思わず、自分もこんな家を施主さんと一緒に
楽しみながら作りたいと心の底から
感じた出会いとなった。
思えば幼いころ、自宅の横の工務店の工場の
中に忍び込んでは、見よう見まねでのこぎりで
木を切って遊んだり、廃材に釘を打って遊んで
いた私。
今でもよく覚えているのは、大工さんがノミを
使って木を彫っているのをどうしても真似したくて
夜に工場へ忍び込んで真似した結果・・・
ノミが左手の親指と人差し指を綺麗に切り裂き
大けがをおってしまったこと笑
今でもその傷跡は残ってしまっている。
心の底では大工さんになってみたかったが、
色々な運命的なこともあり、経営のほうへ
身をおくことになってしまったが、
やはり今でも大工職へのあこがれは強い。
そんな思いもあったせいか、
もう一度木のことを勉強しなおし、
ひとつのシーンにこだわることに対して
執着していきたいと思う。
先週お引き渡しをさせて頂いたM様邸は
そんな私の思いをひとつ実現させて頂けた。
今回はどうしてもこの演出に参加したかったので
夜間にアッパーライトで植栽の影のうつる格子は、
今西監督と二人でディテールを考えて、
施工までさせて頂きました。
M様へは少しだけ私のエゴに付き合って頂きました笑
(Mさま、本当にありがとうございました)
一つのシーンにこだわる建築。
お施主様が一瞬でもその「粋」を感じて下されば
建築に携わるものにとってこんなに幸せなことはありません。
「場の建築」
素敵な言葉、素敵な社長さんとの出逢いにも感謝。
日々、精進します✊