自分ならどんな人に大事な家を任せたいだろう?一日の仕事を終えてゆっくりする時間になった時に私はよくこのことを考えます。私たちはお施主様の健康や財産を守り、あるいはかけがえのないご家族様の居場所づくりに携わる仕事をさせて頂いております。それゆえに、今日もそんな大切な仕事を信頼してご依頼頂ける自分であり、自社であったのか?客観的に見つめる時間をつくるようにしています。
そんな風にいつも考えていると、自然とお施主様の想いをプロとして最大限叶えてあげたい!というマインドになっていくのですが、この私のオーラが社風につながっていると感じることがよくあり、そんな様子をみるととても嬉しくなります。
私と一緒に営業を担当している弟の健吾の話を少ししたいと思います。少し前のことなのですが、彼が数回打合せをしていたAさんというお施主様の新築計画の提案書をなにげなく見た時のことです。本来なら、綺麗に設計CADでかいた計画図面を印刷してプレゼンするのが普通なのですが、そこにはやたらメモ書きや図、敷地周辺の写真などが貼られていて肝心の平面図が見えないほどでした笑
なにが書いてあるんだろうとみると、ご夫婦さんの趣味についてや日々の家事・生活動線のことはもちろん、日当たりの予測や風通しの計画、お隣さんからの目線のことなどとても細かく書かれていました。
一日のうちに何回も現場へ足を運んで、自分の五感と経験値をフルに使わないと、この計画書はおおよそ完成できないな・・・瞬時にそう感じとれるものでした。
少し経験を積めば、お施主様の要望を1時間ほどお聞きしたら大抵の営業マンは間取りを作って提案することはできます。でも、ただそれを見ただけではなかなか感動までは生まれないと私は思います。
弟が作った計画図面は、お施主様がどうしたら心地よく暮らしてもらえるだろうか?という思いがにじみ出ているものでした。素人のお施主様に代わって、経験値と熱い想いで素敵な住まい空間を提案する。
当たり前かもしれませんが、想いをくみとってプロとして提案することは私たちの使命です。私はそれをみてとても嬉しくなり、彼に「いい計画図面だね、トミタらしい素敵なプレゼンをありがとう!」と言いました。
そのままご縁になる場合と、残念ながらそうでない場合があります。でも、そんな想いのこもった図面を逆に読み取ってくださるお施主様も多くいらっしゃいます。きっとそんなときは、不思議といい空気が流れる家になるんでしょうね。お互いのリスペクトは仕事という垣根を越えて心地良い空間を造りだします。信頼関係づくりにおいても、家づくりにおいてもそれは同じなんだろうなと感じています。
私たちはお施主様との対話をとても大切に考えております。建築をするということはとても労力のかかるイベントだと思います。お金のこと、土地のこと、工法、性能・・・あげていけばキリがありません。
加えて現代は情報過多の時代ですので、手軽に様々な情報が手に入ります。私たちのお手伝いの第一歩はお施主様の情報整理と取捨選択のサポートから始まります。そのために大事なことはやはり「話す」ということに尽きると思っております。
そこでは雑談も交えて逆に私やトミタのことを知って頂きたいと思いますし、できれば私たちはお施主様の潜在的な思いまで感じることができれば一番いいと思っております。こと私は、自覚しているほど口下手ですが、建築の話で盛り上がる時間は大好きです。
そしてお施主様と対話させていただく中で、プロの目線でのご提案も重要だと思っています。「プロの目線で提案」というと、偉そうな聞こえになってしまいそうですが、私たちの考える提案の定義は、もっと人間味の強いもののような気がします。自分の親族や大切な友達の家を建てさせてもらう時の感覚が近い感じがするのですが、飾らずに良し悪しはお伝えして一緒になって取り組んでいくのが私たちトミタのスタイルです。
そこへ加えて、私たちがこれまで培ってきた建築への考えや日々学んでいる意匠性を大事にしていきたいと強く考えておりますし、そこの融合で私たちにしかできないご提案をお施主様に喜んで頂けたらとても嬉しいです。